第10話

10年ぶりに見た彼はまだ輝き続けていた。

何も口にせず、ただそこに居るだけなのに……こいうのをオーラを感じるとか言うのかな。


「宇川さん、ひとつ聞いてもいい?」


「あ、はい何でしょうか。」


若月さんはさっきまで見ていた書類をテーブルに置くとアタシと視線を合わせた。


アタシは一瞬それに耐えられなくて逃げようとしたけれど、自分の動揺を助長するだけだと思い踏ん張った。



「柏木さんとは付き合い長いの?」


「あ、はい。今の会社に入って初めての担当が柏木さんでした。アタシは他の方の担当にはなった事はありません。」


「そうなんだ。先輩から連絡が来た時は驚いたけど……俺の事は事前に知ってたんでしょ?」



「……はい。」


ヤバイ、


すでに助長していた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る