第8話

一番の心の友、武井理沙子(旧姓、篠原)とは中学からの付き合いで、



高校も大学も同じ学校に通ってきた仲だ。




ちなみに、理沙子も既婚者で、結婚歴は半年。



私と臣くんは結婚してまだ2ヶ月だから、奥様歴は理沙子のほうが少し上。お互いにまだ子どもが出来ていないので、



理沙子の仕事が休みの日には、こうして我が家のマンション(臣クントノ愛ノ巣)でお茶を飲んだりしている。





そんな感じで新妻同士のティータイムを楽しんでいると、




「来るたびに思うけど、凄いね」




と、理沙子が手土産に持ってきたクッキーをつまみながら、



20畳のリビングを見渡して言う。




「えー、何が?」




そんなに凄いものでも置いてあったっけ?



と、私も周囲をぐるりと見渡す。



そんな私に、




「壁」




と、ソファーの後ろの壁を理沙子が指差す。




「?かべ??」




いたって、フツーの壁ですが、と私は首をかしげる。




「いくら新婚でも、そんなに飾ってる家って今時珍しいと思うんだけど」




理沙子が指摘するその場所には、大事に大事にフレームに収められた写真さん達があった。

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