第5話

──私、熱があるのかな。



頭がぼぉっとする……。



こんなに心臓の音が鳴り止まないのも可笑しいと思う。


でも、せきとか出てないから大丈夫なのかな。


具合も悪くないし。



あぁでも、何かの病気だったらどうしよう……。




「大丈夫……、だよね……?」




ハァー。


それにしてもあの人、すごく強かったなぁ……。


あの人の背中を見た途端に、全身から力が抜けた気がした。




「また、会いたいなぁ……」




そう呟いて、既に見えていた駅までの道のりを私は歩いて行った。








口にしていた小さな願いが叶うのは、



それから数カ月先のこと……。










この出会いが偶然ではなく──






運命だったのだと、






本人たちが自覚するのは、もっと先のお話──……。

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