第87話

薄暗い灯りが千秋君と私を照らす。


シーツの擦れる音がやけに耳に響いて私は彼の背中に両腕をまわした。


服越しからでも体温を感じるからもうこのまま流されたい、と思った。


だけど……、


「千秋君、今日はダメ!」


「は……?どうして?」


千秋君は重なっていた身体を少し起こす。


「だってお、お風呂入ってない。さすがにそれは嫌かも。」


「ああ、なんだそんなこと。別に気にしない。」


そう言って私の首筋に唇を這わせる。


そうなんだ、千秋君は気にしないんだ……、


そうじゃなくて!


「私が気にする!」


私は急いで起き上がった。

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