第84話

……嫌なことはしないって言ったのに!


夜遅く眠っている私に千秋君は右肩に触れる。


身体も心の準備もできていないのに。


なのに私は千秋君から逃れることが出来ない。


だって、好きなんだもの。


ずっと大人になっても心の片隅に彼が存在していた。


誰を好きになっても千秋君以上に好きになったヒトはいなかった。


そんな彼に好きだと言われた。



断る理由なんてない。


「…な、ねなっ!?」


「う……ん、やだ……、だめだってば……、」


「ねな!」


千秋君の声が耳に響いて私はハッと目覚める。

目の前には彼が心配そうに私を見下ろす姿勢でいた。


「……千秋君?」


「なんか凄くうなされていたけど大丈夫?」


……え、夢?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る