第76話

食事を済ませテレビボードに置いてあるデジタル時計を見ると21時になっていた。


「雨止まないね。」

千秋君はそう言いながらカーテンを閉める。

さっきまで雨でぼやけた夜景が見えていた。

雨が降ってなかったらとても綺麗だと思う。


「シャワーだけでも浴びたらいいのに。」


「ありがたいけどやめとく。」


替えの着替えがないし。

明日の朝コンビニに寄ってから出勤して社内にある職員用シャワーを使おうと考えていた。


「そういえば冷蔵庫の中にビールとか入ってないけど、」


「アルコールは身体に合わないみたいで飲まないんだ。」


「え、そうなの?」


「すぐ酔うから。」


意外だった。

勝手にアルコールに強いヒトだと思い込んでいた。


「ねなもアルコールは強くなさそうだけど、」


「あ、あの時はたまたまだから!!普段は私結構強いんだよ?」



その言葉に千秋君は目を丸くさせると返答しなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る