第69話

事務所の奥からエレベーターに乗る。


まさかこんな事になるなんて。


また千秋君の部屋に行くとか。

いやこの前のは私が泥酔したから。自分の意思で彼の部屋に行ったんじゃない。

……耳に拍動を感じる。隣の彼にドキドキし過ぎている。


「で、返事を。」

「へ、返事?」

「うん、さっきの。」

「千秋君、本気で言ってるの?」

「……まだ信じてないのか。結構扱いにくい性格してるんだね。」


……こんな性格になってしまったのは千秋君のせいだよ。

私が返答しないでいると、


「俺のせい、か。」


私はその言葉に思わず隣の彼を見てしまった。


「あ、当たり、その顔。そんな性格に支障きたすほど辛かったの?」


「……あの時は、ね。幼かったから。」


初めての告白と失恋を一瞬で体験したからダメージも強かった。

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