第68話

帰るの諦める?

確かに外に出るのは危険だし。


「ねな、聞いてる?」

「あ、聞いてる。じゃあ事務所の奥を貸してくれる、てことだよね?」


「いや、事務所は全部にセキュリティがかかるから無理。」


そんな、じゃあ私は何処に居ればいいの?


すると千秋君は天井を右手の人差し指で合図する。


それを見て私は首を振る。


だって千秋君の住んでいる最上階の部屋を指している事なんていくら恋愛下手の私でもこの歳になると分かる。


「ねなの嫌がることはしない。」


千秋君は私のことを全てお見通しみたいだった。

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