第65話

千秋君がいつもの紅茶を出してくれる。


それを飲みながら考えていた。

さっき千秋君が言っていた涼子から言われた言葉を。

気にならないはずがない。

でも怖くて目の前にいる本人に聞くことができない。

臆病になっている、千秋君に。


傷つきたくない。


「ねな、今からは仕事の話はしなくてもいい時間だよね?」

「あ、うん。」

「一応確認しておこうと思って。じゃあプライベートで。」


私は頷く。

なに、そんな事確認されると次に何を言われるのか不安になるんだけど。


「俺、」

「ち、ちょっと待って!」

「え?」

「なに、怖いこと言うの?」

「……怖いこと?」

「え、あ、怖いっていうか、」

「俺は怪談話する趣味ないよ。」



いや、そういうんじゃないんです……。

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