第64話

「えっ……、」

窓の方を見ると結構雨足が強い。


「夕方から降水確率高かったけど本当に当たったね。」


いや、感心するように言わないで。

今朝は天気だったから天気予報見てなかった。

傘を持ってきていなかった。


「明け方にかけて結構降るみたいだね。」

千秋君はパソコンの天気予報を見ながらそう言った。


「そうなんだ……、千秋君悪いんだけど傘貸してもらえないかな?」


「え、この雨足で傘使ってもびしょ濡れになるよ?」


雨はガラス窓を叩きつけるように降っている。


「このまま直帰だから濡れても何とかなる。」


「もう少し雨が弱まるまで待ってみたら?」


駅までのタクシーを呼ぼうとしたけれどこの雨だと捕まらない。

駅から近すぎて乗車もできない可能性がある。


私は千秋君の言う通り少し待たせてもらうことにした。

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