第63話

千秋君の口から涼子が出てくることに驚く。


「ねなと同僚だと言ってた。凄く生命力がある人だよね。」


確かに。

涼子の熱量には勝てる気がしない。

でも涼子のことだから千秋君に会ったなら翌日には私に何か言ってきそうなのに。


「ねなを好きなのか聞かれた。」


!?え、……なに?


私はビックリし過ぎて声が出なかった。


どうして!?何余計な言ってるの!?


動悸がする。


千秋君を困らしたくないから何も言わないでいるのに。

酷いよ、涼子。


「な、なんでそんな事聞いたんだろ……、」


絞り出すように言葉を発する。すると、


「あ……、雨が降り出した。」


千秋君の声がしたと同時にその雨音は激しくなった。

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