第62話

オファーが絶えないヒトなんだ。


事務所の中に入るとバッグからクリアファイルを彼に渡す。


「地鎮祭の案内持ってきただけ。」

「ああ、ありがとう。」

千秋君はクリアファイルを受け取るとチェックした。

「忙しいのはわかってるんだけど来て貰えたら、と施主さんも言ってるから。」


「うん、何とか時間作る。」

「本当に!?嬉しい。」


私がそう言うと千秋君は一瞬間があってクスッと笑った。


「そんな嬉しそうにされると勘違いするから。


「え、あ……、気をつけます。」


ちょっとはしゃいでしまった。

勘違いとか何の事か分からないんだけど、今は仕事してるんだから気を引き締めないと。


「この前、駅前で長澤さんて人に会ったんだけど。」


「え、」

長澤って涼子のこと、だよね?

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