君のこと 9

第50話

「ねな、ここの模型ズレてるよ……、」

「え、涼子どの場所……、涼子?」

涼子は一点を見つめている。

「どうしたの?」

「今……、千秋朔が商談ルームに入って行ったような。」

「まさか、こんな所に彼は来ないよ?」


私は千秋君の担当から外して欲しいと上層部に伝えた。今代わったとしても特に支障はなかったからすんなり受け入れられた。

ただ、トラブルではないという事をかなり聞かれたけれど。



「あの容姿は絶対千秋朔よ!彼の担当外れてから会ってないの?」

「え、会うわけないよ。もう接点がないもの。」

「よくあの千秋朔が納得したよね。一体何があったの。」


そんな、涼子にあの日のことを言ったら呆れられるに決まっている。


「涼子、千秋君は本当に色んな意味でハイスペックなんだよね。」


「ハイスペック?ねな、あんた頭も目もおかしいんじゃない?」


「え、失礼な。彼に足らないものって何なんだろう。」

そう言うと涼子は笑った。


「絶対的にねなが足りないのよ、あのオトコは。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る