第40話

ディスプレイに表示されているのは、


『千秋朔』


「えっ……、千秋君からだ。」

思わず声が出てしまった。


「マジですか!?それなら早く出ないと!」


私は少しふらつきながら外に出た。


「……槇村、どう思う?」

「どう思うも千秋朔はニセ彼氏の俺から塚原さんを略奪する気でしょうね。」

「略奪!?」

「そうですよ、俺が彼氏だと聞いた後も千秋朔は、ねな、と呼び捨てしてましたから。明らかに挑発でしょ。」

「へぇ、そうなんだ。一度は振ったのにまた期待させるような事して好きにさせるって酷いオトコ。」


そんな話を2人がしていたとも知らずに私は千秋君からの着信に出る。

内容は仕事上のトラブルって言われた。

何が起こったの?施主の画家さんとは来週会うようスケジュール調整もできているのに他に問題なんてあったかな。

とにかく彼の事務所に呼ばれたから今から行くことになった。


そう2人に伝えると無言で手を振られた。

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