第16話

そうだよね、過去に振った女にいくら仕事でも会いたくないよね。

私だって調子狂いまくっている。

会社に入って5年目で本当なら小さなミスなんてしない方だし、もっとスムーズに誰とでも話も出来るのに。


相手が千秋君なばかりにどう振舞っていいのか分からない。

彼を意識し過ぎている。


でもそれが……好きなのか、千秋朔という建築家としての彼自身に緊張しているのか整理がついていない。


「塚原さんは全く知らない人じゃないのに初対面で会った人より距離を感じる。」


「それは……、」


「仕事だから?そう思うならもう少し俺に近づいてもいいんじゃない?」


近づく……?

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