第13話

恋愛って好きになった方が負けなの?


勝ち負けで測れるほど恋愛って簡単じゃない事くらい分かってるんだけど。

千秋君の方がかなり優位な立ち位置にしか思えない。


私は彼に翻弄されている。


「そうそう、この建築家の本読んだことある?」

千秋君はそう言うと私の左の横髪を掠めるくらいの近さで背後にある一冊の本を取り出した。

そのせいでセミロングの髪がほんの少しなびく。


近すぎる!

でもきっと彼は意識的にそういうことをしたのではないと分かっていた。


「1度この本読んでみて、この人の作品を見て俺は一級建築士を目指したんだよね。」


そう言って私にその本を渡してくる。


なぜそんな事を言って本まで見せるの?

この私に。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る