第5話

そんなこと聞かなくても知ってるくせに。


「そ、そんなことはないです……、」


「……そう?じゃあこのまま進めてもいいね?担当代わるなら今だけど?」


「大丈夫です。」


「じゃあ後で後悔しても知らないけど。よろしく、塚原ねなさん。」


そう言って千秋君は右手を出した。


握手……、ちょっと今私の手はきっと汗だくなんだけど。

でも急いで右手を差し出す。

すると簡単に彼に掴まれる。


生まれて初めて彼の手に触れた瞬間だった。

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