第3話

あんな状況で



タクシーに勢いよく乗り込んだ私が、



なぜ、




理沙子と迷惑独身男塚本と共に、おかまBarで飲んでいるのかというと……





時は遡ること、



約四時間半前―…









「……っ」




頬に伝った一筋の涙をカットソーの袖で拭う。




本当にやだ……




涙なんて流すつもりなかったのに。



ましてや、大事な二人の記念日に嫉妬までして、



臣くんのことまで一瞬であっても疑ってしまった。




それで結局、



泣き顔を見られて



大好きな臣くんの手も振り払って……




だけど、



あんな状態のまま、臣くんと居られるわけもなくて―…




会いたいのに、



会えない。




会えないと強く思うのに、



本当は会いたくて仕方ない―…





こんな状況を



選んだのは私なのに、




そんな自分の想いに揺れる度に、




また





「……さん」




涙が零れてし―…






「お客さん!」




「は、はいっ!!」

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