90・美味しく食べてね

第90話

あれから何事もなく午後はスムーズに終わって退社する時間になった。


「お先失礼します」

「お疲れ様です」


鞄を持ちエレベーターを待っていたら後ろから名前を呼ばれて振り返ったら課長。


「沢井、気をつけて帰れよ」

「はい。ありがとうございます」


会社で他人行儀が何処まで貫けるか分からないけど貫き通すと二人で決めた。


「沢井、連絡するから」

「はい。課長お先に失礼します」


エレベーターが来て私は乗り込み扉が閉まるまで課長はその場に居た。

心配性だなぁー…って思いながら外に出たらお義母様の姿が見えた。


「お義母様!」

「華ちゃん、迎えに来たよ」

「わぁ!ありがとうございます!!佳彦はまだかかります」

「佳彦君は良いのよ〜。心配してないから」


お義母様が来てくれて嬉しい。

本当に大好きなのよね。


「華ちゃん、体調は大丈夫かな?」

「お義父様!はい。大丈夫です」


お義父様も来ていて嬉しい。二人とも大好き。


「佳彦君はまだなんだよね?三人で食べに行こうか」

「はい!何食べますか?」

「華ちゃんは何食べたい?」


迷う。

優柔不断だから決めれない…。


「和洋中どれが良いかしら?」

「どれも捨てがたいですね」

「僕は洋だな」

「広一君の事は聞いてないわ」


お義母様、お義父様の言葉をバッサリ切った。


「中にしましょうか。華ちゃん食べれるのあると良いわね」

「はい!お義父様、今日は中にしましょ」

「そうだね…。そうするよ」


しょんぼりしたお義父様の姿は怒られた佳彦に似ていて親子だなって思った。


「じゃあ!レッツゴー」


それから三人で中華料理に行きたらふく食べて二人義母義父は、「今日帰るから」と帰って行く。


「華ちゃんの赤ちゃんが産まれる前に来るからね」

「華ちゃん、何かあってもなくても連絡してね」

「はい。お二人ともお気をつけて」


そう言って二人とも車に乗り込んで帰って行った。

私を家まで送ってくれたので助かりました。


《華?お袋達帰った?》

《帰ったよ。顔見せてあげれば良かったのに》


帰って来て着替えを終えたら携帯の着信。

相手は佳彦。


《終わった。これから帰る》

《はーい。気をつけて帰って来てね》


帰るコールをしてくれる様になった佳彦。


「佳彦の夕飯作りますか!」


気合いを入れて作る。

美味しく食べてね、佳彦。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る