88・喧嘩の理由

第88話

「お義母様、本当にありがとうございます!」

「良いのよ、華ちゃん。華ちゃんに赤ちゃんが居るって立ち会えて嬉しいんだから!」


お義母様が夕飯を作ってくれて三人で食べてる。


「…お義母様はどうしてこちらに?」

大方おおかた、親父と喧嘩したんだろ?」

「佳彦君は黙ってて。私、悪くないもーん」


お義父様と喧嘩したんですね。

どんな喧嘩したんだろう?と思っていたら佳彦の携帯が鳴りその場で出る佳彦はスピーカーにする。


《佳彦君?五月ちゃん来てるー?》

《来てる。早く連れて帰って》


お義母様の事を“ちゃん付け”するお義父様可愛い。


《散らかってるから片付けてからそっちに行くね》

「母さん。また散らかして来たの?片付けないとダメじゃないか」

「広一君が悪いんだと思いますから謝りませんよ」

「…母さん」


お義母様はお義父様の事“君付け”か…可愛い。


《佳彦君、片付けてからそっちに行くからそれまで五月ちゃんお願いするよ》

《華が赤ちゃん出来たんだからあまり華の負担はやめてくれよ》

《?佳彦君、今何て言った?華ちゃんが…》

《赤ちゃん出来たって言った。じいじとばあばが喧嘩してたら赤ちゃんがビックリするだろ?》


佳彦…なんだか良い事言ってる気がする。


《五月ちゃん!聞いていた?僕じいじだって!》

《私なんてばあばよ?》


二人とも嬉しそうで何よりです。


《じゃあ、急いで片付けてそっちに行くね!》

「…父さんまだ性別分からないから服とか玩具とか要らないからな!》


しっかり釘刺してる…お義父様前倒しで購入しそうにテンション高いもんね。

「早く行くから」で電話が切れた。


「母さん、父さんとしょうもない事で喧嘩だろ?」

「しょうもなくないわ!私にとっては一大事よ!」


お義母様にとって一大事の喧嘩ってなんだろうと黙って聞いていた。


「包丁が右にズレていたのを広一君ったら勝手に直したんだから!」

「…やっぱりしょうもない事だ」

「……?」


包丁が右にズレていた?

お義父様が勝手に直した?んっ?


「華、スルーしていいよ」

「…う、うん…」


お義母様にとっては一大事なんだと思うけど理解に苦しむ。

でも、佳彦はいつも通りの対応してるからこんな喧嘩しょっちゅうなんだなって思った。

さすが息子佳彦

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