86・おめでたい事!!

第86話

「どうしてここに居るんですか?佳彦待ちですか?」

「佳彦君待ちじゃないわよ。華ちゃん待ちよ〜」

「わぁー!嬉しいです!」


お義母様に抱きついたら急に眩暈がしたから少しお義母様に寄りかかった。


「華ちゃん?大丈夫」

「あっ、ごめんなさい。眩暈がしてしまって…」


お義母様の心配そうな声が聞こえるけど何故か遠く遠く聞こえる。


「華ちゃん!華ちゃん!しっかり!!」


目を開けなくちゃいけないのに…目が閉じていく…。




嗅いだ事ある匂いが私の鼻に入り込み目が開いていく。


「華ちゃん!気が付いた?」

「華!!大丈夫か?」


気が付いたらベットに寝かされていて視界にお義母様と佳彦が心配そう私を見ている。


「私っ…」

「華ちゃん倒れたのよ!ここは病院よ」

「華!心配したぞ!」


扉が開いて看護師さんが入って来た。


「気付きましたね、良かったです。中居さん」

「あのッ…私…」

「赤ちゃんは無事ですよ」

「んっ?!」


今、看護師さんなんて言った?


「赤ちゃんは無事なんだって!華ちゃん」

「華!赤ちゃんだってよ!俺達の子供だよ」


佳彦が私のお腹を優しく触れて撫でるけど呆気に取られる私。


「まだまだ小さいからあまり無理はしないように。貧血も多くなるかもしれませんけど気をつけて下さいね」

「……」


先に私のお腹を佳彦の手が添えられてるからその上からそっと添える。


「赤ちゃん…?」

「そうだよ。俺達の子供だよ。華」

「華ちゃん、おめでとう」


お義母様と佳彦に言われて二人の顔が霞んで気付いたら笑って涙を流していた。


「ありがとうございます。嬉しいです」

「華ちゃんの体調が大丈夫なら帰っても平気って言われてるからね」

「はい。頭がハッキリして来たので大丈夫です」


ゆっくり佳彦の手を借りながら起き上がる。


「私、会計してくるから佳彦君は華ちゃんの側に居るのよ!」

「当たり前だよ!母さん!側を離れないよ」


私の鞄も持って佳彦が私の腰を引き寄せて歩く。


「佳彦、そんな事してくれなくても転ばないから大丈夫よ?」

「分からないだろ!こーんな小さい凹凸があったら転ぶだろ!」

「こーんな小さい凹凸あっても転ばないと思うけど…」


過保護過ぎる。

赤ちゃんが産まれたら過保護パパになりそうな気がするよ…。

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