74・お仕置き…?

第74話

「高畑さんもここまで運んで下さってありがとうございます」


“たまたま”って…佳彦達は知らなかったって事?

何はともあれここまで運んで来てくれたのだからとして御礼は言わないと。


「図々しく佳彦の部屋に居て恥ずかしくないのかしら?」


私と佳彦が離婚・・してると思ってるから高畑さんは嫌味を言ってくる。


「佳彦を早く自由にしてあげなさいよ!この性悪女」

「自由も何も私と佳彦は夫婦・・です。夫婦問題なので他人高畑さんは口は出さないで下さい」


言ってスッキリした。


「夫婦って…離婚してるんでしょ?」

「…離婚してないよ」

「!佳彦、酔いは醒めたの?」

「あぁっ…」



野山さんも佳彦も寝室から玄関にまた戻って来た。


「野々、離婚なんかする訳ないだろ?この夫婦が」

「悟!貴方知らないの?この夫婦…」

「高畑、何度も言ってるがお前が口を出す問題じゃない。二人俺と華の問題なんだよ」


佳彦は私を抱き寄せて頬にキスを落とした。


「佳彦っ!?」

「お前…見せつけんなよ」

「良いだろ〜」


野山さんは床に置いてあった鞄を持ち上げて私と佳彦を見て高畑さんの手を握った。


「これ以上ココにいると碌な事ないから帰る。華ちゃん、明日ねー」

「はい。お気をつけて」

「はいはい。野々も帰るよー」

「ちよっ!悟っ」


高畑さんも野山さんに強引に連れて行かれて玄関は二人きりになった。


「……えっー…と、華ちゃん?」

「はい。説明してもらいましょうか?」


玄関の鍵を閉めて二人でリビングに行った。


「野山さんと二人で呑みに行くって言っていたよね?」

「はい。悟と最初呑んでおりました」

「それで?」


私はソファーに足を組んで座って、佳彦は床に正座して座ってる。


「二人して酔いが回ってきた頃に高畑が合流して来たんだよ」

「へぇー…。それで?」


高畑さん、確信犯だな。


「俺は悟と呑むからお前一人で呑めって言っていて最初は呑んでいたんだけど店が混んで来て…」

「相席な形で結局の所三人で呑んだって事でしょ?」

「…はい。その通りです」


色々腑に落ちない所もあるけど正直に話してくれたから許す…?


「佳彦…」

「華?ごめん…!?」


ソファーから降りて佳彦の首に手を回してキスをした。


「許さない。約束破ったから」

「俺にお仕置き?」


そう、お仕置き覚悟してね。

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