73・たまたま…?

第73話

「……!」


書類を作成していた時にハッと気付いた。

何故、お義母様達が離婚届・・・用紙・・を持ってるの知ってるのか…と思いソロッと佳彦を見て答えに辿り着く。


「……」


佳彦がお義母様達と話した時に見せその場で記入してくれた。



「華ちゃん、お疲れ様」

「お疲れ様です。野山さん」


帰り際の野山さんに声をかけられた。


「じゃあ、借りてくね」

「はい。楽しんで来て下さい」

「ありがとう〜」


野山さんは、手を振って佳彦と待ち合わせ場所に向った。


「じゃあ、沢井。後よろしくな」

「はい。お疲れ様です」


野山さんが出てから丁度一時間後に佳彦の仕事が終わったらしく私に声を掛ける。

当の私はまだ終わってない。


〈遅くならない様にするから〉

〈大丈夫よ。楽しんで来て〉


二人で小声で話して佳彦は私の頭をポンっと撫でて去って行った。

佳彦の背中を見送り私は書類に目を向けて続きをした。


「んっー…」


伸びをしながら十九時になりそうな時計の針に「帰るか」と思い鞄の中に詰め込む。


「一人だから簡単な食事〜」


ウキウキしながら会社を出て惣菜屋さんに。

たまには全部惣菜で良いよねって思いながら選んで行く。


「卵サラダに海老チリに酢豚に…」


彩なんて気にしなーい。

好きな物を食べる日って思いお会計をした。


「佳彦を待っていたいから佳彦の家に行こうと」


佳彦の家に向かう。

きっと酔っ払って帰ってくるもんね。


「お腹空いたから食べよーと」


惣菜を広げて食べていく。

時々佳彦…楽しんでるかなぁー?と思いながらお風呂に入って会社から持参した書類に目を通してゆったりと過ごしていた。



「……!!」

「華ちゃん…ごめん」

「あらぁー。沢井さんっ!まだ居たのー?」


玄関のチャイムが鳴ったから開けたら目を疑う光景を見る。


「佳彦、酔い潰れちゃって」


酔い潰れてる佳彦の肩を支えてる野山さん。

その隣に何故か高畑さんが居て…。


「ここまでありがとうございます。佳彦?佳彦ったら」


佳彦の頬をペシペシ叩いて目を覚ませようとしても無理だったけど野山さんが「寝室まで運ぶよ」と言ってくれたのでお願いした。


二人悟と佳彦が呑んで居たのを“たまたま”見て合流したの」

「…そうですか」


たまたま…高畑さんの事だから…ダメダメ!疑っちゃダメよ。

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