67・野山さんと…

第67話

昨日は背中向けて寝た気がしたんだけど起きたらキスで起こされて佳彦の胸の中に居た。


「華、いつ引っ越してくる?」

「んっ?」


急に引越しの話?


「引越しは考えてない。だって一人暮らし満喫中なんだもん」

「夫婦内仲は悪くないけど別居って事か?」

「今、流行りでしょ?佳彦だって一人時間…」


“いるしょ?”って佳彦の顔を見て言おうと思って言葉を止めた。


「俺は一人でこのまま過ごすつもりは無い。華」

「はいっ」

「早く引っ越して来い!家電は処分しろよ」

「はいっ…」


有無を言わさずに圧のある言い方に負けた。

佳彦はパワハラでは無い。

私と住む事を心待ちにしてくれてる事が嬉しい。


「なるべく早く引っ越して来ます」

「あぁ、そうしてくれ」


佳彦を、抱きしめて頬にキスした。


「俺も華にキスするよ」

「うんっ…」


きっとふんわりとした優しいキスだと思って目を瞑る。


「んっ?!」


舌が口の中に侵入して来て朝から濃厚なキスを受ける羽目になった。


「んっ…ちょっ…」

「まだ。俺の愛に応えて?」


カタが外れた佳彦はもう遠慮なく私を愛してくる。


「待って…。息が続かない…」

「全部俺のモノ」


角度を変えキスがもっと深くなる。


「朝から遅刻しちゃうから…」

「遅刻したいわ」

「ダメに決まってるでしょ!」


キスをもう一回してそれぞれ支度をする。

お義母様達に温かく見守られて恥ずかしかったけど賑やかに朝食になった。



「今日は朝食食べて来たのね?」

「智子、おはよう」


会社に着いてから自販機ルームで智子に会った。


「うん。食べて来たよ」

「課長と一緒に出勤して来たの!?」

「えっ?課長とは下で会ったのよ?」


には秘密してるから迂闊な事は言えない。


「智子、合コンどうだった?」

「外れ。課長級は居ないわね」

「…そうなのね…」


自販機で珈琲を購入しながら智子に聞いていた。


「今度こそ見つけるよー」

「ファイトだ!智子」


喋りながら課に向かう。


「あっ!華ちゃん!丁度良かった」

「野山さん、おはよう…」


野山さんに会ったけど何だか急いでる気がした。


「華ちゃん、これから俺と一緒にKYA会社に行かれるかな?」

「行きます!智子、ごめんね」

「いいよ。課長に言っておく。行ってらしゃい」


野山さんと一緒にKYA会社に向かう。

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