61・「結婚」と「離婚」

第61話

「お義母様と高畑さんの言い合い凄かった…」

「そうだな。母さんも負けてないし」


二人でベットに入って座ってる。


「やっぱり…私、床で寝るから…」

「まだ言うか。大人しく隣で寝ろ!」


「床で寝る」と言うと怒る佳彦の圧に負けてベットに入ってます。


「言っただろ?お前が親孝行者だって」

「うん。最初は信じられなかったけどね」


最初は疑った。

でも、野山さんも言ってくれて信じられた。


「なんで信じられなかったって?」

「えっ?だって……」


私を喜ばせる為に言ってるものかと思ったから。

野山さんが言ってくれなかったら私はきっと見るまで信じられなかった。


「悟も助言したんだろ?」

「えっ?何で分かったの?」


佳彦が不貞腐れた様に言った気がしたから心のまま手を伸ばした。


「なっ…!」

「佳彦、今は信じてるわ」


佳彦の頬を触って視線が交わり目が逸らさない。


「佳彦…」

「華…」


佳彦の顔が近付いてきて目を閉じた。

心のまま逆らわずに。


「んっ…」

「華…」


手を絡めて優しいキスが私を包み込む。

久しぶりの佳彦の甘い甘いキスにクラクラする。


「華…」

「んっ…………!?」


抱きしめられて頭の中が覚醒した。


「わあっ!私っ、私…」

「可愛い華だったよ」


恥ずかしくなって慌てて絡めていた手を振り解いて布団を頭から被った。


「可愛い華だったよ。キス嬉しかった」

「〜〜〜っ」


布団の外で佳彦が囁いてる。


「華、俺を幸せ者にしてくれてありがとう」

「……」


その言葉は私が佳彦に言う台詞。


「その台詞は私が……」


布団を剥ぎ取って自分から佳彦に抱きつく。


「……っ?華?!」

「私の方こそ…離婚・・しちやった…」


ベットサイドの引き出しから何か出てる。


「んっ?」

「華?どうした?」


佳彦から離れてベットサイドの引き出しを開けて目を疑った。


「!!」


佳彦はやっぱり誰かと結婚するつもりだったんだ…と。


「華っ?あぁ、“俺の手掛けるウェデングプラン”がどうした?」

「んっ?」


今、なんて言った?

俺の手掛ける?ウェデングプラン?


「佳彦っ?どう言う事?」

「俺の契約した会社と合同プランなんだよ」

「あっ…仕事…」


一気に気が抜けた。


「華と結婚・・してるのになんでまたしなきゃならないんだ」

「結婚って…私達、離婚・・してるんだよ?」

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