59・図々しい高畑さん

第59話

「佳彦に会えるなんて残業していてラッキーだったわ」


高畑さん、佳彦、私と並んでエレベーターに乗ってるけど誰が乗り込んだ時に邪魔になるからと思って後ろに下がろうとすると佳彦が私の肩を掴んで離してくれない。


「佳彦、この後何か食べに行かない?」

「お袋が夕飯作ってくれてるから行かない」

「お母様が?私お邪魔しようかしら?」


えっ?お邪魔するの?

お義母様と犬猿の仲なのよね?

だって、佳彦も野山さんもそう言っていたよね?


「お母様にまたご挨拶したいし」

「…来るな。飯が不味くなる」

「失礼しちゃう!」


そう言って高畑さんはプリプリ怒って少しだけ佳彦から離れたけど何かいい事思いついたらしくすぐに佳彦にくっつく。


「ねぇ、佳彦。沢井さんも行くでしょ?なら私も行っても大丈夫よね?」

「お前、華をー」

「ねぇ、沢井さん。私も行っても良いですよね。断る理由なんて無いですよね?」


高畑さんは佳彦の言葉を遮り私に視線を合わせて

言って来た。


「えっ?あっ…」

「おいっ!高畑」

「佳彦は黙っていて!私は沢井さんに聞いてるの。どうなの?沢井さん」


断る理由なんて私には無い。

だって、佳彦のマンションだから。


「……はい。どうぞ、高畑さん」


グッと“お断りします”を飲み込んで笑顔で答える。


「華…知らないぞ?お袋また血管切れるぞ?」

「さぁ、行きましょう」


高畑さんは私を使って再びお義母様と会うつもりらしい。

二人の言い争いを見てみたいのが勝ったは内緒。



「佳彦君、華ちゃん、おかえり」

「お義母様、遅くなりました」

「大丈夫よー。疲れたでしょ?早く食べましょう」

「はい」


お義母様達、夕飯食べないで待っていてくれた事に嬉しかった。

お義母様は高畑さんに気が付いてから一気に顔が素になる。


「後ろの貴女。送って来てくれてありがとうございました。お気をつけてお帰りください」

「あらっ、お母様。私も夕飯ご馳走になるんですよ?佳彦と沢井さんに許可貰っております」

「あらっ?何か言ったかしら?」


玄関でこんな会話ビックリ。

佳彦が会話が切れた所で言葉を紡ぐ。


「母さん、俺達着替えるからとりあえず高畑も食わせてやって」

「…後ろの貴女もどうぞ」

「ありがとうございます〜」


これからどんな言葉が飛び交う?

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