55・嬉しい事二つ

第55話

「野…高畑が来たのは急だったからな!」

「そう。それで?」


心が急に冷えていくのが分かる。


「母さんも父さんも居たんだからな」

「それで結婚・・挨拶・・したんでしょ?」


お二人に認められる高畑さんならきっと佳彦の良い奥さんになる。


「結婚の挨拶なんかするかよ。母さんも高畑も二人とも大が付く程お互い嫌いなんだよ!」

「えっ?嘘っ!お義母様を嫌いって本当?」

「高畑だけは母さん昔から嫌いなんだよ。だから俺の嫁に来る事は一生無いね」


それが本当ならどれだけ嬉しいか。

その言葉が本当なら心から踊ってしまう。


「俺が親不孝者になるだろ?華なら母さんと仲良いから親孝行者だろ?」

「…それはそうだけど…私達…離婚してるんだよ?」

「俺は認めてないって言った」

「認めてなくても…」


二人で廊下で言い合っていたらお義母様が来た。


「二人とも会社大丈夫?」

「あっ!急いで支度します!」


慌てて自分の部屋に向かって着替える。


「佳彦君。ちゃんと話し合いなさい」

「分かってる。華を離しはしないから」


佳彦と話し合うだけなのに何故こんなにも難しいものなのか…分からない。



「部長、呼ばれちゃってから帰ってこないね〜」

「本当だね」


会社に着き即効で社長に呼ばれてから一向に帰って来ない佳彦。


「あっ!帰った来た!!」


智子がこちらに向かって歩いてくる佳彦の姿を見つけて嬉しそうに笑う。


「部長!お帰りなさい」

「部長、大丈夫でしたか?」


皆それぞれ部長の側に行き心配の声をかけていた。


「皆、心配かけた。今日付で課長になる事になった」

「おめでとうございます!」


オフィスに歓喜が湧く。


「ありがとう。後もう一つ嬉しいニュースだ」

「何ですか?課長ー!」


課長になった佳彦はキョロキョロ見渡して誰かを探して野山さんと目が合う。


「野山」

「はい」


野山さんが課長の隣に行き緊張してる。


「KYA会社の契約が叶った。野山のプレゼンが通った」

「わっー!!おめでとうございます!!」


わぁ、嬉しい!!

大手のKYA会社と提携出来る事。


「野山さん、さすがだね!」

「うん!凄いよ〜」


佳彦も野山さんも二人ともおめでとう。

佳彦は、肩書きが部長から課長に変更になり

KYA会社の掛橋は野山さんになった。

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