54・変な心配はしてないわよっ

第54話

あの怖い笑顔に頷くしかなかったけど今日は床で寝れる様にするわよ!


「華ちゃん、おはよう。昨日はゆっくり出来たかしら?」

「お義母様、お義父様おはようございます」

「おはよう、華ちゃん、佳彦君」


お義母様とお義父様が起きて来てテーブルに付く。


「佳彦君の朝からの手料理二日目〜。まだまだ居座るわよー」

「そうだね、五月。佳彦君の手料理美味しいもんね」

「広一君、教え込んで良かったわー」

「……」


無言で朝食を作る佳彦の隣に行って手伝うか聞く。


「佳彦、このお皿並べば良い?」

「あぁ。そうしてくれ」


佳彦の指示を仰いで並べて佳彦は盛り付けしていく。


「はい、お義父様。はい、お義母様」


二人の前に料理を置くと二人は嬉しそうに料理にかぶりつく。


「華の分」

「あっ、ありがとう」


私の分も貰って席に着き佳彦も席に着く。


「二人とも結婚記念日・・・・・そろそろじゃなかったー?」

「えっ?もうそんな時期でした?」


結婚して1年も満たずに離婚・・しちゃったのが私を打ちのめす。


「だって僕達の結婚記念日が、そろそろだからだよー」

「わぁ!おめでとうございます!」


お義父様達の結婚記念日は嬉しい。

自分達のと言えば…虚しい。


「今、お互い忙しいからその日は祝えないけどひと段落付いたら祝うよ」

「佳彦君ったらその日に祝いなさいよー」

「そうだよ。五月の言う通りだよ」


お義母様には言ったのにいつも通りに振舞ってくれるから感謝しかない。

佳彦も合わせてくれるからこちらも感謝しかない。

ただ、お義父様だけには言ってなくて心苦しい。


「華ちゃんもその日に祝いたいよね?」

「えっ?あっー…そうですね。でも本当にお互い忙しいので…」

「華ちゃん、無理しなくていいんだからね」


こんな優しいお二人を悲しませる元嫁・・になってしまって謝りたい。


「華、そろそろ出社の時間だぞ?」

「あっ、はい!お二人はゆっくり食べて下さいね」


慌てて片付けに行きゴミ箱を覗いたら惣菜の空容器が捨ててあった。


「……!!」


昨日、高畑さんはココに来たって事?

ゴミ箱から空容器を拾ってしまったのを佳彦が見ていた。


「華っ」

「急ぎます!」


空容器をもう一回捨てて自分の部屋に向かう。


「華!変な心配してんじゃないよな?」


変な心配?してない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る