53・お互いの本音は…眠ってから?
第53話
「…こっち来たら張っ倒すからね!」
「あっー…はいはい」
「こっちに1ミリでも来たら…」
「あっー…はいはい」
佳彦の説得に負けて今一緒の布団に寝てる。
「華、寝ちゃった?」
「寝てない!」
私は佳彦に背を向けて佳彦の寝姿は分からない。
「華は何で俺と
「
佳彦が本当に好きな人と結婚して欲しいから離婚するなんて口が裂けても言えない。
佳彦に言いたくない。
「何となくで俺と結婚したって事?」
「そうじゃないの?忘れちゃったわ」
忘れる訳が無い。
佳彦が好きで好きでプロポーズされた事も覚えてる。
「そうか。俺も何となくだよ。俺達気が合うな」
「……そうね…」
それを聞いて心臓がギュッと痛んだ。
私との結婚が“何となく”だから離婚も“何となく”になってくるんだろうか。
「……」
数時間経っても眠れない。
起き上がって佳彦を見たら佳彦はもう眠っていた。
寝てる時しか本音が言えない。
「…佳彦、ごめんね。大好きで愛してます。貴方にプロポーズして貰った時嬉しかったんだよ。結婚した時だって嬉しかったんだよ」
佳彦の頬にキスをして布団に潜って眠気が襲って来て眠りについた。
「……ならなんでそんな事言うんだよ…華」
佳彦は起きていて起き上がって眠りについてる私を見てる。
「華、お前の意図が分からない。分からないままじゃお前はいつまでも俺の妻なんだよ。離すもんか」
眠ってる私を胸に抱く佳彦。
私は夢の中で幸せな気持ちに包まれていた。
「お前は俺の妻だよ。愛してるよ、華」
眠ってる私にキスを落とした事も私は眠っていて知らない。
「…な、華!起きないとお袋達起きるぞ?」
「んっ….もうちょっと…」
私、誰かの服を握ってる…?
うっすらと目を開けて水色のパジャマが目に入る。
「!!」
「おはよう、華」
「…おはようございます…佳彦…」
私いつの間にか佳彦のパジャマを握っていた。
「って!私から?佳彦から?」
「華からだよ。俺に擦り寄って来ただろ?覚えてないの?ファァー…」
喋りながら佳彦は欠伸したから私から迫ったんだと思った。
「睡眠邪魔してごめんなさい。よし!私は床で寝るわ」
「お前は今日も俺の隣」
そう笑う佳彦に頷くしか無かった。
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