50・女の戦い?②〜佳彦〜

第50話

《大丈夫なの?うん。うん。分かったわ》

「お母様・・とあそこまで気を許せる人初めて見たわ」

「お前はしゃしゃり過ぎなんだよ」


野々に言って母さんの方を見た。


《うん。後で迎えに行くわ。一緒に夕食食べましょ》


夕食…?

まさか、相手は華?

そう思っていたら母さんは電話を切って黙って来て座った。


「盛り付けそのままなので食べましょう」

「あぁ、美味しそうだな。五月」

「母さん、電話の相手は華?」

「…貴方佳彦に言う必要があって?女同士の秘密よ?」

「……」


確信が持てた。電話の相手は華だ。


「佳彦、沢井さんの事より惣菜、はい」


野々が俺の皿に惣菜を取り分ける。


「新婚気分を少しでも味わえて良いわねー」

「はい。佳彦と結婚したら楽しいなーって思います」

「あらっ。佳彦には“華ちゃん”って可愛いお嫁さんが一生涯いるから無理ね」

「あらっ、お母様・・知らないのですか?」


野々と母さんが言い合いしてる。

俺と父さんは蚊帳の外で黙ってる。


「佳彦と沢井さんは離婚・・してるんですよ?」

「おっーほほほほ。お花畑な頭ね」

「お母様、失礼だと思いますけど」


野々が怒って泣きそうになっていて俺に擦り寄って来た。


「佳彦〜。お母様が酷い事を言うわ。私、失礼な事言ってないのに」

「…はぁ。野々、お前帰れ」


野々と居ると疲れちまう。


「こんななら私は二度と佳彦と会わない」

「孫が出来てもお母様に会わせませんから!」

「上等よ!そんな事一生無いと思いますよ」


野々は膨れっ面を作って勢いよく立ち上がって鞄を持って玄関に向かった。


「佳彦、帰るわ!こんな非常識人と居られないから」

「お前の方が非常識人だよ?」


俺の両親が来てるって言って無理矢理来てるのお前だからね!


「佳彦、また二人でゆっくり会いましょう」

「会わないよ。華が大切だし」

「佳彦!沢井さんとはー」

「はい、はい。お前に関係ないから」


無理矢理靴を履かせて玄関から追い出して鍵を閉めた。


「変わらないわね。あの性悪女・・・。まだウロウロしてるなんて」

「同期だって言っただろ?仕事上仕方ないんだよ」

「それで華ちゃん泣かしていたら許さないわよ?」

「あぁっ…。肝に銘じます」

「佳彦が本当にあの女と結婚しなくて良かったわ」


結婚相手で親孝行出来て良かったわ。

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