48・私はわがまま

第48話

「今日、部長がお休みなんてヤル気なしよ〜」

「あははは…」


あの後、お義父様達より早く着替えれて朝食を食べて会社に居る。

佳彦はご両親が来るから有給を取った。


「智子、ヤル気出して!部長が居なくてもいてもね!」

「痛ーいっ」


お尻をペシンッと叩いてヤル気を出させるけど出ない智子と会話を楽しむ。


「そう言えば聞いた?部長の事…」

「えっ?部長の事…?」


まさか、佳彦と二人きりになった時に抱きしめられたのを見られた?!


〈高畑さんと部長が社内で抱き合っていたのを見たって!〉

「……っ」


社内で抱き合っていた?

あの時、二人を残して戻った時に抱き合ったって事?


「部長の彼女は高畑さんだったかー…。あの二人お似合いだし近い内にに結婚・・なんて〜」

「……」


高畑さんと佳彦はお似合いすぎるし結婚する…?

嫌!嫌!嫌だ!!

私と離婚・・してるけど佳彦を誰にも取られたくない!


「華?大丈夫?顔が真っ青よ?」

「えっ?だ、大丈夫よ…」


智子に心配されまくって医務室に行く事になった。

別にこれと言って具合悪い訳ではない。


「私、わがままだな……」


昨日の夜は、佳彦の心臓の音を聴いて抱きしめられながら幸せな気持ちになって嬉しかった…って…!!

右腕で両目を塞いでベットに横になっていたけど慌てて起き上がる。


「うわぁー…今更恥ずかしくなって来た…」


最後、何か言葉が聞こえた気がしたけどきっと

アレは私が作り上げた幻覚よね…。

顔を両手で包んでいると頭上から知ってる声が聞こえる。


「華ちゃん、大丈夫かな?」

「あっ、野山さんっ」


野山さんがわざわざ足を運んでくれた。


「大丈夫なんですけど、同僚が…」

「少しハードだったから休んだ方が良いよ」

「ありがとうございます」


野山さんが椅子を持って来て座る。


「今日、佳彦は?」

「ご両親が来てるので有給取ってます」


「そうなんだ」と言って私の頭をポンっと軽く撫でた。


「大丈夫ならもう戻る?」

「はい。戻ります」


ベットから降りて立ち上がろうとしたら野山さんが手を差し伸べて来たからそのままご厚意を受け取った。


「佳彦にlime入れておきなよ。心配するから」

「…はい。気が向いたら」

「華ちゃんらしいや」


野山さんと笑いながらオフィスに戻った。

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