42・一人部署戻る…

第42話

野々・・!華になんて事してるんだ!」

「佳彦…だってこの子…」


私の目の前に両肩を佳彦に掴まれて向かい合ってる高畑さんの姿。


「貴女が悪いんだから!!」

野々・・!どういう意味だ!」


佳彦が高畑さんから離れようとしたから高畑さんが佳彦の胸の中に入るのを見て胸がズキッと痛んだ。


離婚・・してるなら佳彦との赤ちゃんなんて望まなくていいでしょ!」

「!!」


高畑さん、御手洗の時の言葉を聞いていたんだ!!


「赤ちゃん?…華…」


佳彦の胸の中に高畑さんを入れたまま私を見つめるから私は逃げようとした。

しかもここは会社の中。

もうこのフロアに人が居ないとしても誰が聞いてるか分からない。


「華!教えてくれ!」

「生理が来たんでしょ?だから赤ん坊は残念だったわね」

「……」


佳彦は、高畑さんを振り切って私の所に来るから逃げようとしてるのに足が張り付いて動けない。


「華…」


佳彦が高畑さんを抱きしめていた腕の中に私を入れようとしたけど拒否した。


「華…?」

「私と貴方は離婚・・してるんだから安易に抱きしめないで」


大好きな男性の服から他の女性の匂いが付いてる腕で抱きしめないで。


「私…まだ書類が残ってるので失礼します」

「華!」


今度は佳彦に腕を優しく掴まれてそれ以上進めない。


「何でしょうか」

「みみず腫れになってるから冷そう」

「……」


大人しく着いていく私だと思わないで!


「大丈夫です!部長は高畑さんと話し合う事ありますよね?」

野々・・と?無い」


また名前・・で、呼んでいてそれに反応してる自分が嫌になる。


「私は平気ですから、部長は高畑さんと一緒に居てあげて下さい」

「…華。…分かった」


拒否するかと思ったのに拒否しなかった佳彦は私から離れて高畑さんの所に行った。


「お前が言ったんだからな。野々・・の所に行けって言ったのは」

「……っ」


自分の心を殺して二人に笑いかけて「戻ります。お疲れ様でした」と言って部署に戻る為向かう。


「……」


歩きながら涙が流れていたのは悔しいじゃない。

心臓がズキズキ痛い。

自分から言ったから後悔はしてない筈なのに。

自分から離婚・・って言ってしまった。


「もう、取り戻せないよね…」


後から後から流れて止められない。


「さぁ、泣くのは終わり!やらなくちゃ!」

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