41・待ち伏せされていたのは…

第41話

「華ちゃん、どうそろそろ行け…」

「…野山さん。ごめんなさいっ!まだ書類が、終わってなくて…」


デスクの上に山積みの書類を見て野山さんは苦笑いだ。


「今度、誘うよ」

「はい。そうして下さい」


野山さんは私の耳元に近付いて言葉を発した。


「佳彦の目の前で堂々とね」

「!!」


素早く離れてヒラヒラと手を振って去って行く。


「野山さんよ!カッコいい!!」

「本当ねー!でも特定の人作らないって…」

「そう、そう。何でだろうねー」


そういう私は固まっていた。

野山さんの先程の行動に…ゾワゾワしていた。


「…好きな人にやって欲しいですよ…」


こんなに意識してない異性の声が耳元で気持ち悪いなんて思わなかった。


「これが…佳彦なら?」


想像して、顔が赤くなるのが分かったから慌てて邪念を吹き飛ばす。


「もぉ、仕事!仕事!これ片付けなきゃ!」


デスクに山積みの書類を片付けていくのだったけど同僚が次々と帰る中私は書類と睨めっこ。


「…朝倉さんに言ってやるんだから!」


他人のまで律儀にやってる私はお人好しなんだろうか。

いいや、私のデスクに乗せられてる書類は私が処理しなきゃいけない。


「……っ」


急にお腹が痛くなって慌てて御手洗に駆け込む。


「……!!」


予定日より遅れて来て、安心した気持ちとガッカリした気持ちの複雑が入り混じる。


「これで心配する事はないわね…」


流れるモノをみて胸がキュッーと締め付けられて悲しみが込み上げる。


「良かったと思わなきゃ。だって…」


視界がぼやけていく事に気付いて泣いてる事に気付くのに時間はかからなかった。


「私…佳彦との赤ちゃん欲しかったんだなぁー…」


涙を拭き取り御手洗から出た時に会ったら何を言われるか分からない人物と出会でくわした。


「沢井さん、貴女…」

「高畑さん、こんばんは」


高畑さんと出会した。

挨拶をして早々に去ろうと頭を下げて横切ろうとしたら腕を掴まれた。


「高畑さん?!何ですか?」

「貴女…佳彦との…」


佳彦との何?


「痛っ…!」


腕を掴まれてる力が入り込み痛い。


「許せない!佳彦との…」

野々・・!華を離せ!」


間に入って来たのは佳彦で私の腕を掴んでいた高畑さんを離した。


野々・・!何をしてる!」

「佳彦!」

「部長」


佳彦が来てくれて安心した。

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