38・高畑と佳彦の話は…
第38話
「それでね、華ちゃん」
「あっ、はい」
野山さんが面白い話をしてくれてるのに自分でも分かってる何処か
「…そろそろ戻ろうか。佳彦が気になるんでしょ?」
「えっ?あっ…いやっ…」
野山さんに見抜かれていた。
先輩に気を遣わせてしまったから慌てて二人分の珈琲のカップを返却口に片付ける間、野山さんは本当に奢ってくれた。
「ご馳走様です!野山さん」
「いいよ、華ちゃん。頑張ったんだから」
野山さんに頭をポンッとされて満面の笑顔で笑う野山さんにドキッともせずに佳彦なら…と想像したら顔が熱くなってしまった。
「華ちゃん?顔が赤いけど大丈夫?」
「あっ、はい!大丈夫ですっっ」
野山さん、ごめんなさい!!
私ったら本当に失礼な女じゃない?
「大丈夫なら良いけど。無理はダメだよ?」
「はい」
両頬をペチペチしながら野山さんの後ろを歩いていて営業課に向かっていた。
「ぶっ」
「……」
野山さんの後ろに突撃してしまい顔をぶつけた。
「イタタタ…ってごめんなさい。野山さん…」
自分が足を突っかけたのかと思って謝ったけど野山さんからの返事がなく不思議に思った。
「野山…さん?どうし…」
野山さんの視線を追ったらそこに
「どうして、佳彦は“逃げる”の?」
「逃げてない。俺には
「……」
二人とも仕事とは関係ない話をしてる?
「あの夜の電話だって!“愛してる”って言ってくれたじゃない!!」
「!!」
「華ちゃん…」
野山さんの私を呼ぶ声に二人が気付いて佳彦がその場からこっちへ来るから慌てて野山さんの背中に隠れた。
「…沢井…」
「佳彦、華ちゃんを傷付けるなら俺はもう容赦しないって言っただろ!」
「この
「えっ?」
高畑さん、やっぱり知っていたのね。
「だから
「……」
他人から言われる
「野々、俺は別れたつもりはない。華と今でも
「……っ」
その言葉を信じたい自分と信じられない自分も居てグルグル頭の中を回っていた所に自分の名前をフルネームで呼ばれた。
「そうなんだ…。沢井華さん」
「はい…」
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