37・ズキズキとする…
第37話
「華ちゃん、美味しいね」
「はい、美味しいです。ご馳走様です」
「部長、私に珈琲奢って下さいよ〜」
「自分で金出せ。飲めるだろ?」
どうしていつものメンバーで居るの?
私、野山さんと二人で来たのに時間差で
「悟、沢井さんの隣に行けば良いのに!私が部長の隣に行くのに!」
「いやっ。お前ら二人が別の席に行けよ」
野山さんと高畑さんが言い合っているのを蚊帳の外で見てる私達。
「佳…部長、二人を止めなきゃ」
「良いんだよ。大学からこんな感じだから」
佳彦は、気にせずに珈琲を飲み進める。
「…大学時代からこんな感じで佳…部長はソレを見てるだけ?」
「そうだな。見てる」
少しだけど佳彦の大学時代を垣間見た気がした。
「佳彦!悟に言ってやって!」
「お前が引き下がれば良い事だろ」
「
「……っ」
「沢井?どうした」
「何でも無いです。珈琲の味を堪能してました」
慌てて珈琲を飲み誤魔化した。
何回、誤魔化せば良いのだろうか。
「華、ちゃんと頼れって言っただろ」
「ちゃんと頼ってるつもりよ。だから関係ないと言うか…なんと言うか…」
だって本人を目の前にして「
言える訳ないでしょ!
「おーい!二人の世界に入らないでくれるか」
「えっ?あっ!ごめんなさいっ」
「
「!!」
佳彦は夫婦と思ってくれるの?
ダメダメ!期待を持っちゃ!
鋭い視線が突き刺さるから見たら高畑さんが睨んでいたから慌てて視線を逸らした。
「佳彦、この後話があるの。良いかしら?」
「商品部で報告するんじゃなかったのか?」
「それは、後でも大丈夫よ」
「悟、
「…っ」
また名前で呼んで私は苗字。
傷付く理由なんて無いけどズキズキする。
「じゃあ、行きましょう。部長」
「そうだな」
「やっとゆっくり飲めるね、華ちゃん」
「あっ、はい。そうですね…」
美味しかった珈琲が佳彦が居ないだけで味気がなくなった気がした。
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