32・野山さんなら…

第32話

「……」


産婦人科兼婦人科で思ったんだけど親に離婚・・した事言ってないよね……私。


「マズイ…。帰省出来る時期に帰らなければ良いんだ!そうよ!」


それで解決よ!とフフン〜と鼻歌混じりで珈琲を堪能していた。


「華ちゃん、ご機嫌だね」

店主マスター。解決策が見つかったのでつい鼻歌を、歌ってました…」


そうだ。

ここは店内で他のお客さんもいるのに私ったら。


「さっき、佳彦に腕を絡めた女性は誰かな?」

高畑・・さんって言う方です。プロジェクトチームのメンバーの一人なんですよ」

「…そう。まだ付き纏っているのか?」

「付き纏う?」


店主マスターの言葉が気になったから続きを聞こうとしたらお客さんが入って来てそちらに行ってしまった。


「華ちゃん!」

「野山さん!」


入って来たお客さんは野山さんだった事にビックリしたけど野山さんも笑って「相席よろしいですか?」と聞くから私は笑って頷いた。


とも知り合いだったの?華ちゃん」

「はい。野山さんもプロジェクトチームの一人で私の先輩です」

「世間は狭いね…」


店主マスターは野山さんに珈琲を置いて去って行った。


「あの頑固親父まだしぶとく生きてやがる」

「野山さん、店主マスターの事知ってるんですか?」

「知ってるも何も大学時代からの通いだからね」

「大学時代…なら店主マスターは、高畑さんも知ってますね」

「そりゃあ、勿論」


野山さんは珈琲を飲んで答えてくれた。

“付き纏う”…あの言葉は佳彦達の大学時代を知っているから出た言葉だった。


「華ちゃんは佳彦に紹介されて来たんだろ?」

「はい。店主マスターが佳彦の名前を呼び捨てするから仲良いなぁって思っていたんですけどまさか大学時代からなんて…驚きです」

「俺もここまで通うなんて思っても見なかったよ」

「何が起きるか分かりませんね」

「そうだね。華ちゃんとこうやって会えたし」


あははっと笑った。

野山さんは私を笑わせてくれる天才だ。

佳彦とは違った安心感をもたらしてくれる男性。


「野山さん、これからまた会社ですか?」

「取引先は回り終わったからもう直帰しても良いと思うんだ」

「そうなんですか。お願いがあるのですけど…」

「んっ?何かな?華ちゃん」


野山さんならきっと相談に乗ってくれると思う。

佳彦ふ忙しい身だしね。

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