23・そんな優しい声で…

第23話

「着物が皺皺しわしわよ…。バカ佳彦」


ベットで寝息をたてる佳彦に悪態を突き着物を脱いで行く。


「華…」

「!!」


急に後ろから抱きしめられて心臓が止まるかと思った。

気配がなくいつベットから出たの!?


「ビックリしたぁー…佳彦!驚かせ…きゃあ!」

「華、華、愛してるよ…」


佳彦が喋りながら耳を甘噛みしてきて右手が私の太ももをなぞる。


「ちよっ…待って!佳彦」

「何で?俺ら夫婦・・だろ?イチャしよ」

「!!」


私たちの間で“エッチしよ”=“イチャしよ”になっている合言葉。

覚えてくれてる事嬉しいけど…。


「佳彦、それは出来ないって…んっ」

「華、俺を受け入れて?」


下着の上から久しぶりに佳彦に触られるのは好きだけどお酒が入ってる時は嫌。

何も覚えてない…私とイチャしたって…。


「やっ…佳彦!やめて!!」


佳彦から無理矢理抜け出て前を向き頬をパーンと叩いたら佳彦がヨロッとよろめいてベットにダイブした。


「……」

「佳彦?大丈…」


覗いたら寝惚けていたらしくまた眠ってしまった。


「佳彦…イチャは出来ないけどこの気持ちは本物だよ」


布団を掛け直して佳彦に近付いて捕まえられたら捕まえられても良いと思いながら頬にキスをした。


「…佳彦、好き。この気持ち伝えられれば良いのに」

「俺もだよ。華…」

「!!」


慌てて離れたら佳彦は寝言を言ったみたいだった。


「佳彦、おやすみ」


佳彦の寝室を出て、自分の部屋に行き着物を掛けてベットに横になった。


「……私、私…」


ぬわぁんて事しちゃったの!?

いくら佳彦が好きだからって頬にキスするなんて。


「!!」


携帯が鳴っていて私の着信音でなく佳彦の着信音だった。


「佳彦、寝てるから出ないと思うけど…」


と思っていたら着信音が切れたから慌てて佳彦の寝室の扉に行きいけないと思いながら耳を立てた。


《もしもし?》


こんな時間に電話がくるなんて誰なんだろうと思った。


野々・・?商談は上手くいったよ。ありがとう》

「高畑さん?」


高畑さんと電話してるなんて…。

心臓がドクドクとしてる。


《あぁ、うん。今は家だよ?》

「……」


あんなに優しく喋るなんて…聞かなければ良かったと扉から離れて部屋に行き布団を頭から被る。


「私に責める権利なんて無い!」


無いのにこんなに悲しくなるなんて…。

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