22・商談は成立しました

第22話

「弓子、酒注いでくれるか?」

「はい。中居様」


お酒を注いで行くけど潰れる一歩手前な気がするけど大丈夫かな?と顔を覗き込むと「大丈夫」と笑って答える佳彦。


「こんな楽しい食事は良いな。中居君」

「ありがとうございます」


佳彦が山下様に頭を下げたらヨロッとよろめいたから慌てて佳彦の腕を掴み倒れるのを阻止した。


「大丈夫かね?中居君」

「今、頭が重いを証明しましたよ」

「あはははー。そりゃあそうだな」


えっ?そこ面白い所?

こっちは着物が少し着崩れしましたよっ!


「そろそろ帰るよ」

「はい。お見送りさせて下さい」


そう言って立ち上がる佳彦だけど呑んでるから足元が少しふらついているから側に行き背中を支えると佳彦は私の腰に手を回す。


「中居君、よほどのお気に入りだな。奥さんにバレないといいな」

「ありがとうございます。奥さん公認なんですよ」

「器のでかい奥方だ。一回会ってみたいものだ」


話が丁度途切れた所でタクシーが来たから山下様がホステスさんと一緒に乗り込む。


「商談は進めさせてもらうよ。中居君」

「ありがとうございます。山下様」


タクシーが出発して姿が見えなくなるまで頭を下げる。


「佳彦…大丈夫?」

「あぁ、多分・・な…」


飲み過ぎな言葉が出て来てるよ。


「送るわ。そのまま寝た方が良いわ」

「今度は逆だな」

「…そうね」


私が送ってもらったから今度は私が責任持って佳彦を送る番。

佳彦の荷物と自分の荷物を持ってタクシーに乗り込み佳彦の部屋に行く。


「佳彦っ!重いっから早く歩いて」

「んっー?華?華だなー?」

「そうよ。頬を引っ張らないで」


佳彦が頬を伸ばすからペチッと手を叩いて歩かせるけどよろめく。


「ちゃんと歩いて…重い」


やっとの事で寝室の部屋に来てベットが見えたから一安心したら何かに突っかかりベットにダイブしてしまった。


「アイタタタ…」


うつ伏せにて私の上に佳彦が乗っかっていてる。


「!?」

「華〜、愛してるよ」

「えっ?」


急な告白に心臓が高鳴る。


「佳彦…?」


意を決して佳彦見たらもう目を瞑っていて寝落ちしていた。


「……寝言ね…」


寝言の言葉に傷付いた自分が居たのも本当でその言葉を素面しらふの時に聞きたい自分もいて…その前に佳彦の下から懸命に抜け出せた。

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