20・聞きたい事は答えるよ

第20話

佳彦に聞きたい事が沢山ある。

どうして、高畑さんを名前から苗字呼びになってるのか。

どうして、唯一・・と言ったのか。それは

大学時代の事だから今更昔の事を引っ張り出されてたくないけど気になる!

どうして、〔華を選ぶよ〕と言われたのか。


「ぶっ…あははは」


急に佳彦が吹き出して笑った。


「なっ、何ですか?」

「華の…色々聞きたい事があると鼻のてっぺんを押す癖」

「!!」


自分でも気付かないうちにやってしまった癖。


「高畑が名前から苗字に変わったのは華が嫌がったからだよ?」

「ふーん…。えっ?はっ?」


えっ?待って!いつ、私が嫌がった?


唯一・・と言ったのはその当時の問題・・を解けたのが高畑だけだったから」


待って!さっきの言葉で次の疑問が入ってこないけどそれが唯一・・の謎ね…。


「華を選ぶって言ったのは頼みたい事があるからだよ」


私に頼みたい事?何だろう。

でも、先に聞きたい事がある!!


「待って!部長…」

「何?」


廊下で部長と向き合って一番最初に答えてくれた事を聞き返す。


「高畑さんの名前を苗字に変えたのは私?」

「そう。華が〔高畑さんを名前で呼ばないで〕

って言ったから」

「……っ」


いつ言ったの?覚えてないよっ!


「華が酔ったあの日俺のベットで寝てる時に寝言で言っていたから〔了解〕って答えた」

「そんな寝言…」


グッジョブ!私!!

交際時も結婚してる時も今も『野々・・』って呼んでるの本当に嫌だったのよね。

なんかこう…省かれてるって言うか蚊帳かやそと…ってまぁ、それは仕方ないのだけど…。


「佳…部長、そんな私の言葉に承諾しなくても」

「俺が決めたんだから華は気にする事無い。後は?聞きたい事は?」

「後は、大丈夫です。ありがとうございます」


部長が私の肩をポンッと叩く。


「…部長はエスパーですね。私の聞きたい事全て当てちゃうなんて…」

「華を見ているからな。昔もも」


『今』も…って本当に?

私も昔も今も佳彦が好き、大好きなんだよ。

でも、離婚しちゃってるから言葉に出来ないから言わせて。


「……っバカです!部長に対して失礼だと思いますけど」

「あははは。それくらい元気なら頼めるな」

「何をですか?」

「言っただろ?華を選ぶよって…」


何を頼まれるの?私……。

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