17・佳彦の態度…
第17話
さっき元気付けと言って右手の甲にキスを落としてくれた佳彦。
大好き!!もぉー、大好き!!
「……っ」
私、何で
勢いで「出しておいてね!」なんて…。
佳彦のことだからきっと…。
ソロッと佳彦の方を見たら忙しく書類の束を
「沢井さ〜ん」
「…はい?何でしょうか」
浸っている気持ちをぶち壊しにきた…同僚の朝倉さん。
「私、これから営業で周る事があって…」
嫌な予感しかしないし!
「少しやって頂けませんか?沢井さん。あの“プロジェクトメンバー”に選ばれたんですもの」
「…書類回して下さい」
「ありがとうございます。後で置いておきますね」
言い返したいけども、自分の書類も遅くなるし、営業の周りも出来なくなる。
「はぁー…気持ち悪…」
ハンカチで口を抑えてデスクに炭酸が置いてあるからソレを飲み干すと少しはスッキリしたけど
まだ気持ち悪い。
「気を取り直してやらなくちゃ!」
私と朝倉さんのやり取りをまさか
「沢井さん」
「あっ、はい」
部長に呼ばれて行き部長が手を差し出しす。
「?」
「…渡された書類があるだろ?それコッチで処理するから営業回っておいで」
「えっ!?部長…見ていたんですか…?」
「“たまたま”見えたんだよ。今度は断るように」
「はい!ありがとうございます!!」
佳彦にとびっきりの笑顔を向けたら口元に手を抑えて視線を逸らされた。
「……持ってきます」
胸が痛い。
これはまだまだ佳彦が好きだから痛くなる痛み。
「部長〜どうしたんだろうねー?」
「そうね。どうしたのかしら?」
智子は佳彦をよく見てる。
アプローチするだろうけどまだ言いたくない。
離婚の二文字がまだ自分の口から他人に言えない。
「…なんて自分勝手なんだろう…」
吐き出された言葉は小さく小さく消える。
気持ちを切り替え朝倉さんから渡された書類を
持って部長の所に行く。
「これ、お願いします」
「分かった」
私と視線を合わさずに書類を受け取る佳彦の姿に胸が痛みそのまま無言で立ち去り鞄を持って営業に向かった。
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