16・元気付けに…

第16話

「佳彦はね…」


そう言って部長佳彦が、座っていた席を引いて座る高畑さん。


「大学時代はモテてていてサークルが同じで意気投合して一番近くに居たの」

「…そうですか」


佳彦は、結婚してからも付き合っていた時も

大学時代の時の事は話したがらなかった。


(そのを私に聞かせたくなかった?)


高畑さんが私を睨んできて提案する。


「佳彦は私が支えてあげるからメンバーから外れた方が良くないかしら?」

「……っ」


先程、部長にメンバーを外して欲しいと願ったばかりだった。


「佳彦も貴女がいたらやり辛いだろうし」

「私が未熟者って自分でも分かってます。高畑さんに言われたから『はい。そうですか』って言って辞めたりしません!」


あれっ?

私、結局の所辞めたくないんだ。


「女二人で何を言い争ってる?」

「部長」

「佳彦」


会議室の扉が開いて部長が顔を出した。


「私は沢井さんに助言をね。足手纏いなんですもの」


自分が足手纏いなのは重々承知してるから高畑さんの言う通りだ。


「そうだな。沢井は足手纏いだな」

「…なら!」


高畑さんが部長の言葉を聞いて目をキラキラして私はその言葉に傷付いて一刻も早く去りたいのに足が動かない。


「…足手纏いだろが沢井をメンバーから外す事は無い」

「佳彦!?それはとして庇ってるの?」

「…部長…」


部長の言葉に高畑さんは納得いかずに立ち上がって部長に食ってかかる。


として庇ってない。私生活は切り離してる。部長の立場として沢井の能力を認めてる」

「そう。…なら私も佳彦と同じ意見にするわ。沢井さん」

「…はい」

「プレゼン、楽しみにしてるわ」


おおっと!

ハードルがググッと上がりましたよっ!!

高畑さんが会議室から出て行った。


「部長っー!!なんて事言ってるんですか!」

「これで辞めれなくなっただろ?」

「確信犯かっー!!」


部長が側に居たから叩いたら右手を掴まれて時が止まる。


「部…」

「華なら出来るよ、大丈夫」


右手を持ち上げられて右手の甲にキスを落とされ心臓がドキドキしてる。


「…気持ち悪いからやめて下さい?部長」


口から出たのは可愛くない私の言葉。


「えっ?気持ち悪かった?」

元夫・・にやられるなんて…」

「元気付けだよ、華」


元気付け…素直に嬉しいのに〜!!

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