15・プレゼンをね…

第15話

私が居た部屋がそのままの状態でキープされていたのがビックリした。

どうして佳彦は、片付けないの?

好きな人と同棲…出来ない…いや。


「してほしくない!」

「沢井?どうかしたのか?」

「えっ?はっ!すいません!」


今は会議中・・・だったのを忘れていて慌てて謝った。


「沢井さんは何か意見があるのよね?私のプレゼンにうわそらなのだから」

「えっ…?」


高畑さんのプレゼン中に何やってるの、私!!


「高畑、沢井は後で聞くから続けてくれ」

「部長が言うなら続けます。沢井さん」

「はい!」

「ちゃんと最後まで聞いて下さいね」

「…はい。すいませんでした」


高畑さんは私に注意して再びプレゼンに入る。


(はぁー…。何やってんだろう…)


今度は小さく溜息を吐き出した。

佳彦が誰と同棲…したって私は元妻・・

立場なのだからあーだこーだ言う必要ないのに…。


「申し訳ありませんでした!!」

「沢井らしくないな。何かあったのか?」


会議が終わり皆片付けが終わり部長と私だけになり先程の事を謝る。


「いいえ。何もありません」


言える訳無いっ!

佳彦が私以外の人との同棲を心の中では反対!!してたなんて…。


「そうか?プレゼンは進んでるか?」

「…はい…とは言えません。部長」

「どうした?」

「私をプロジェクトメンバーから外して頂けませんか?」

「沢井?どうした?急に…」

「前から考えていた事です。他の仕事も本音を言うと滞っていて…。営業先に挨拶もままならなくて…」

「…明日はとりあえず欠席で良い。お前を…」

「はい」

「メンバーから外す事は考えてない」


部長佳彦は書類を抱えて私の肩をポンっと叩く。


「沢井のプレゼン楽しみにしてるよ」

「……」


“はい”とは言えずに部長は会議室から出て行き

一人になった。


「…プレゼンか…」


何も書いてないホワイトボードを見つめ企画を練るけど何も出てこない。


「あらっ、佳彦がココに居ると思ったら貴女・・なのね」

「高畑さん」


高畑さんが会議室の扉を開けて部屋を見回した。


「先程は大変申し訳ございませんでした!」

「あらっ、私のプレゼンつまらなくてごめんなさいね」


これっ、何て答えたら良いの?

高畑さんは扉を閉めて私を上から下まで目線を移動させる。


「佳彦の相手が貴女・・なんてね…」


品定めされてる…。

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