9・親睦会必須条件は…

第9話

負けじと何か案を出さないといけないのに思い浮かばない。


「沢井は、何か案があるか?遠慮せずに言えよ」

「あっ…はい。でもすいません。良い案が思い浮かばなくて…」

「クスッ…」


高畑さんが小さくだけど笑った。それに気付いてる部長佳彦だけど言わずに黙ってる。


「まぁ、じっくり考えてくれ。大丈夫だから」

「はい。ありがとうございます」


メンバーとして最年少だし足を引っ張ってはいけないのに良い案が思い浮かばない。


「華ちゃん、ドンマイ」

「あはっ。ありがとうございます…」


野山さんに励まされて苦笑い。


「会議はここまでにしよう。明日もあるから解散」

「はーい!部長」

「なんだ?高畑」


皆で片付けをしていたら高畑さんが手を挙げる。


「このメンバーでこれからやって行くんですから親睦会なんてどうですか?」

「いいね!」

「そうですね!部長!親睦会やりましょう!」


他のメンバーも高畑さんの意見に賛同して盛り上がる。


「華ちゃん、楽しみだね」

「…そうですね」


親睦会。

仲を深めるために開くのだから嫌なんて言ってられない。


「出席出来る人は全員で良いかしら?それとも欠席・・したい…なんて人いないわよね?」

「……!!」


高畑さんがそう言って私を直視するから目を逸らさずにニコリと笑う。


「沢井、ちよっと残ってくれ」

「あっ、はい。部長」

「後のメンバーは先に高畑の場所に行ってくれ」

「はーい」


それぞれ片付けて高畑さんの言った場所に向かう。


「早く来てくださいね。部長」

「……っ」


腕を絡めて艶めかしく言う高畑さんを見ない様にするのが精一杯だ。

肝心の佳彦は何とも思ってないみたいだ。


、親睦会来るの無理だろ?」

「部長!そんな事言う為に私を残らせたの?」


佳彦の言葉にカチンと来てしまった。


「体調が芳しく無いんだ。倒れたりでもしたら…」

「部長のお手は煩わせません。その時は野山さんに介抱してもらいます」

「悟に?!」


そう言った言葉が怒ってる様に聞こえたのは私が佳彦が好きだから。


「親睦会に出席します」

「なら、俺の隣が必須出席だ!」

「横暴です!何処に座ろうと勝手でしょ?」

「俺の隣じゃないと認めない!」


そんな事言ってくれて嬉しいと感じる自分がいるのも本当なのよね…。

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