2・こんな身近に好きな人がいたなんて…

第2話

あっ…携帯のアラームが鳴ってる…。


「ゔっ〜ん…。佳彦・・…アラーム…」


その名前・・を無意識に呼んで飛び起きた。


「佳彦と昨日…別れて来たんだった…」


同じ家に住んでいた時、起きたらいつも朝食の

準備が出来ていて佳彦がいつも食べている姿が浮かぶ。


「…もう食べないで行こうっと」


着替えをし支度して通勤途中でコンビニを見つけて軽い軽食を購入して会社に向かう。


「華、今日はコンビニ?」

「あっ、うん。コンビニ気分」


会社の食堂で食べていたら私の同期の上田智子うえだともこが、声をかけて来た。


「中居部長の手作り朝食があるのに〜!」

「あっ、アハハ…」


智子は、密かに佳彦に好意を寄せていた一人。


「華が部長の奥さんじゃなかったら…」

「残念でしたー。私の旦那様・・・でーす」


智子に言ったら後ろで何かの音がして振り向いたら部長佳彦が立っていて足元にコーヒーが転がった。


「部長、おはようございます。コーヒー落ちましたよ」

「おはよう、沢井さん。ありがとう、上田さん」

「…おはようございます」


さっきの言葉聞いてないよね?

離婚した元妻・・旦那様・・・なんて言われたら気持ち悪いよね?


「あれっ?部長、顔真っ赤じゃないですか?」


智子が佳彦部長の顔を覗き込んで更に真っ赤になる佳彦をみてさとった。


(佳彦の好きな人って…智子・・だったのね…)


買って来た軽食に食べる気力がなくなってしまいその場を早く去りたかったから片付ける。


「先に行きます」

「華、食べないの?」

「うん。用事思い出したから先に行くね」

「沢井さん!」


部長が私の名前を呼んだけど笑って伝える。


「部長、後で聞きます」

「沢井さんっ!」


遠くで私の苗字を叫んでるけど今はその場に居たくない。

会社では部長と同じ苗字だと間違われるので私は旧姓の“沢井さわい”を使ってる。


「会社で苗字をそのまま…旧姓のままにしておいて良かったとこんな時に思うなんて皮肉ね」


佳彦が離婚しても好き。

でも、佳彦は私じゃない智子が好き。


「忘れられないんだろうな…」

「おっと!」

「あっ!ごめんなさい」


考え事していたらぶつかってしまったから慌てて謝った。


「あれっ?華ちゃん」

「あっ、おはようございます。野山さん」


朝から爽やかな笑顔だなー…。

野山悟のやまさとるさんは、佳彦の同期で友人です。

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