3

そのままぼーっと公園内を見つめていると、走り回る子供たちや立ち尽くしてスマホをいじる大人……指の動きからしてあの人たちも私と同じようにモンスター捕まえてるな。


すっかり葉の落ちた木には鳥さんが止まっているし、空には飛行機雲がふわふわとした線を描いている。




飛行機が通ってから少し経ってるのか、その白が散り始めていた。


太陽に照らされ、じわじわと暖かさが広がっていく体。


こんなにちゃんと、ゆっくりと日の光を浴びて歩いたのは、いつぶりだっただろうか。






平和。




子供たちのキャッキャと楽しむ声、犬の楽しそうに吠える声、赤ちゃんの泣き出す声、ゆらゆらと体を揺らして宥めるお母さん。




私も、まだ『そら』がお腹にいたならば、そろそろお腹も膨れてきていた頃だったんだろうか?


そこまで成長していたなら、きっと性別ももうわかったんだろうな。






でもね、ゆっくり考えられる時間を作るようになった今ならわかる。


一人じゃ、育てられなかっただろうということが。


子育てとは、誰かの協力が必須だ。




悪阻つわりで吐き気の酷かった頃、まるで眠れていなかった。


今でも確かに眠れていないけれど、母体は薬の服用がそもそも出来ない。


改善するのに薬の力に頼れないし、食べ物すら受け付けるものと受け付けないものが出てしまう。




だからといって出産後はもっと大変だ。


そもそもミルクを与えるのに3時間間隔なのだから、ゆっくり寝てもいられないことが想像できる。


それが数十ヶ月続く。


ミルクを飲まなくなる頃には、もう動き回れるくらいに育っていて目が離せなくなる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る