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土地勘?あるわけない。
ここに来てから自分からは一度しか外へと出ていなかったのだから。
次々と受信するまだ図鑑に未登録のモンスター、その子たちのいるポイントを目指して場所を転々としているうちに、知らない公園へと着いていた。
どこよここ。
位置ゲーだと思って侮っていたけれど、そもそも私はあのマンションの場所を地図で把握していなかった。
つまり帰るべきマンションがどれなのか、わからなくなっていた。
公園というわかりやすいポイントにまで来てるのだから、優藍に聞けば場所なんてすぐわかるだろうけど。
いや、でも道を聞きながら帰るにしても、私は今持ち前の体力のなさで、ゼェゼェハァハァ息切れを起こしている。
体力、なさすぎ。
以前の妊娠が発覚してからゲームから離れていたし、こんなに歩いたのも久しぶりだ。
とにかく休むべく、近くのベンチに座って空を見上げると、風がそよそよと髪を揺らしていく。
気持ちいい。
喉が乾いた。
……お金、残っていただろうか?
ショルダーバッグの中を見ると、そこには小銭入れしか入っていなかった。
その中にはなぜかたくさんの1円玉と、10円玉ばかり。
60円と1円玉が……20枚くらい?なぜ?
10円玉かと思いきや5円玉も混じっている。
使えなすぎてため息が出た。
そういえば小銭を出すのが面倒臭くてお釣りが溜まっていたんだった。
妊娠中、頭の働かなかった自分をこんな所で呪うことになろうとは。
なんということでしょう。
喉が乾いた。
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