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赤ちゃんは泣く。


理由があってもなくても、たくさんたくさん泣く。




睡眠時間が足りなくなると思考力が落ちる、判断力が落ちる。


その上ホルモンバランスが崩れやすい状態。


育児ノイローゼにならない方が難しいんじゃないだろうか。




そもそもお父さんのサポートがあっても足りないくらいなんじゃない?


交代制にしたとしても6時間間隔……足りる?いや私は足りない。


平日の真っ昼間、暖かさと喉の乾きの狭間の中で、そんな現実には起こらなかった現実を想像していた。




「あらら、疲れちゃってますかぁ?」




そんな聞き覚えのある高い声が降ってきて、ゆっくりと顔を向ける。


そこにはキャップがオレンジ色の小さなペットボトルを持った綾愛あやめさんが、首を傾げて笑っていた。




「…………え、なんで」


「あ、これ差し入れですー。どうぞ」




そう言われてまた受け取ってしまったのは、あたたかいはちみつレモン。


そこで思い出した、前回頂いたココア代も返せていないことに。




「綾愛さん……ありがとうございます、後でお金お返しします」


「え、いいですよぅ!そんな高いものじゃないですし!それにコレ、ユラ先輩からの差し入れなので」


「……優藍から?」




というか、私まだ優藍に連絡してない、のに……?


綾愛さんはベンチの隣に座ると、私の向いていた方向……公園内の様子を眺める。




「わぁ、子供たちは元気ですねぇ。そういえばあかねさんはゲームしながらここに辿り着いちゃったんでしたっけ?」


「優藍から聞いたの?ていうかよく場所、わかったね」


「ここらで私たちの目の届かない場所なんて、私有地くらいですよ」


「範囲広いな」

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