87・「それは」秘密に…

第87話

「んっ…」

「起こしたか?」


眠っていたら知っている温もりで目が覚めた。


「大丈夫よ。どうだった?」

「あぁ。ティスとの食事会を望んでいたよ」

「じゃあ、元気にならないとね」


リンがティスの髪の毛を撫でる。


「リンの手…気持ちいい」

「もっと気持ちよくさせてやるよ」

「うん。して?」


撫でるのをゆっくりして心地良い時間が流れる。


「早く元気になって抱きたい。抱きしめたい」

「うん。早く抱きしめてほしい」


ティスの頬を撫でてリンはティスを優しく見る。


「…何かあったの?」

「何もないよ」


何処となくリンの様子が変だったからティスは

聞いて見たけどリンは否定した。


「まだ仕事が残ってるからゆっくり休め」

「うん。リン、大好きよ」

「俺もだよ。ティス、大好きだ」


リンはそう言って執務室に向かった。


「ヤリー、ティスには絶対気付かれるな」

「心得てます」


食事会で王に言われてしまった。


〔このまま王妃ティスが“亡くなる”様なら第二王妃を選んで貰う。分かったな〕

〔…承知しました〕


“あの時”はそう答えるしかなかったけど、リンは“ティス”以外、王妃・・側妃・・も迎えるつもりもなかった。


「侍医!」

「はっ!カルティロス様」

「王妃を全力で治せ!四六時中様子を怠るな!」

「はっ!仰せのままに」


居なくなるなんて考えられなかった。


「カルティロス様」

王妃様ヒナダリ嬢、何用かな?」


ナニの王妃がリンに声をかけた。


王妃様ティス様の容体はどうでしょうか?」

「…起き上がれる様になりました」


リンは王妃ティスに会うのは自分リンが許可した人物しか近付けない様にしていたから王妃ヒナダリは様子が分からなかったから聞いた。


「そうですか。早く良くなる事を祈ってますわ」

「ありがとう。では」


リンは去ろうとしたら王妃ヒナダリに止められた。


「カルティロス様…」

「何かな?」

「…第二王妃はお考えなのですか?」


王妃ヒナダリが震えて聞いていたからリンは溜息を吐き王妃に伝える。


「それは、王妃・・には関係ない事では?」

「そうですよね。申し訳ありませんでした」


王妃は、頭を下げて去って行った。


「ヤリー、あの王妃ヒナダリは何なんだ?」

「…気にしなくて良いと思います」

「そうだな。ティス以外の女を考えるのは面倒臭い」

「はい。主」


ヤリーとリンは溜息を吐いて政務室に向かった。

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