80・ヒナダリ・コラ・ゼンミン登場

第80話

ウキウキで執務室に行く前に頬にキスをして行ってしまったリンとは裏腹にうつ伏せになって動けないティス。


「腰が痛い…」

「あっー…ご愁傷様です…」


テリーは今乳母が乳をあげていて元気と聞いて

安心した。


「起き上がれる?湯浴行くでしょ?」

「うん!行くわ」


ハイアともう一人の侍女に脇を抱えられて歩き

湯浴みをし着替えて椅子に座ってお茶を飲む。


「ふぅー…。なんであんなに元気なの?」

「リン王子は果てしないって感じね」

「果てしないわ。体がバキバキに痛い…」


あんなに吐き出して奥に入れ込まれて恥ずかしい思いをしながらその後、掻き出されるティスの気持ちになって欲しいわ!と思った。


「あっ?はい。どうぞ?」


扉がノックされてハイアが開けるとそこに第二王子カミロティスの婚約者が立っていた。


「失礼します。初めまして。カルティロス王子のランティス王妃様・・・。ヒナダリ・コラ・ゼンミンと申します」


綺麗なカーテシーで返されたからティスも自分を叱咤して立ち上がる。


「ご挨拶ありがとうございます。ランティス・

“ナウラリ”と申します」


ティスは、結婚したから“ヒョウ”から“ナウラリ”に変わって気持ちがくすぐったかった。

ティスもカーテシーで返して、ヒナダリを椅子に促してお茶会が始まった。


「ヒナダリ様で宜しいかしら?」

「ランティス王妃様の方がですから呼び捨てでも」

「その気持ちだけ貰っておきます」

「ランティス王妃様、わたくし公爵筆頭家・・・・・の一人娘ですの。カルティロス王子様の王妃様の地位に着くなんて凄いですわ」

(んっ?これ、喧嘩売られてる?)


ヒナダリは、扇を広げて笑った。

それに返してティスは、お茶を飲む。


「ありがとうございます。カルティロス様に愛されて御子・・も授かって幸せです。

カミロティス様との結婚・・楽しみにしてますわ」

「…ありがとうございます」


ヒナダリは、扇閉じ握りしめてお茶を飲む。


「ランティス王妃様、用事が出来ましたので失礼しますわ」

「そうですか。残念ですわ」


ヒナダリは綺麗なカーテシーをして颯爽と部屋を出て行った。


「喧嘩売られた?」

「アレは不敬罪だからね!」

「気にしないわ」


自分の身分が低いのは一生付き纏うし、気にしたって仕方ないと思ったけど傷ついたのは言わない事にした。

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