77・名実と共に夫婦

第77話

「私は、別に貴女ティスを心配してる訳では無い!兄上カルティロスが恥をかく事を心配してるんだ!」

「はい。カルティロス様に恥を欠かせない様に

尽力しますわ。ご忠告ありがとうございます」


もう一度綺麗なカーテシーをして頭を下げる。


第二王子カミロティス、それ以上リンの王妃ティスを侮辱するならそなたを制裁する」

「申し訳ございません。父上」


王に言われて第二王子は、黙った。


「父上、ティスは体調が芳しくありません。誓いのキスだけして後は省略で良いですよね?」

「!?」


ティスは、リンの顔を見た。


(誓いのキスは省略するべきじゃ無いの?)

「まぁ、誓いのキスはするべきだな」

「そうでしょう。ならティス」

「えっ?今?準備が……っ」


顎をグイッと持ち上げられてそのままリンの

両親、第二王子・婚約者の前で誓いのキスをさせられた。


「まっ…」

「俺の愛を受け取って。ティス」

「長いから、長っ…」


長く深いキスをしてして、ティスがガクッと力が抜ける。


「では、ありがとうございました」


ティスを抱き上げてリンは大聖堂から去って行った。


「兄上!」

「ナニ、それ以上言うなら…」

「もう言いません。唯、兄上がサポートに…」

「決まった事だ。覆すのは勘弁だ」


そう言ってリンはその場を去った。


「リン様」

「もうは、要らない。夫婦だ」

「でも…」

「でもじゃない。俺は夫だよ?」


リンはもう一回キスするんじゃないか位の位置まで来て慌てて離したティス。


「リン…」

「何?ティス」


嬉しそうに笑うリンにティスは、首に手を回す。


「本当にサポート周りで良いの?」

「……」

「貴方が優秀なのは知ってるのよ?リン」


顔を見ない様に言ったらリンがティスを抱きしめてそのまま歩き出す。


「ハイア、テリーを頼む」

「はい。畏まりました」

「リン?」


無言で歩き出し王子の寝室に入る。


「ティスの部屋と俺の部屋は繋がってるけど王妃の部屋の寝室は使わないだろ?」

「使いますよ!喧嘩したらそっち行くもん」


リンの顔を見てそう言ったらリンが吹き出して笑った。


「俺はね、ティス。こうやってティスとテリーと笑い合って暮らしたいんだ」

「リン?」


寝室のベットにティスを降ろしてリンも隣に座りティスの頬を撫で、ティスは、その手に触れて

リンの言葉を待った。

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